20代からの人生設計に重要な意義があり、それには「終活」も含まれます。
「いくらなんでも早すぎる」と思うかもしれませんが、20代の終活には人生を豊かにするさまざまなメリットがあるのです。
本記事では、20代から終活を始めるメリットと具体的方法をご紹介します。
価値観の整理から資産管理まで、長期的視点で人生を設計するために何ができるのか、一緒に考えていきましょう。
20代で終活を考えるべき理由
若いうちから終活に取り組むと、人生設計が明確になり充実した日々を送れます。終活は死の準備ではなく、より豊かな「これから」を創るための前向きな活動です。
ここでは、20代で終活を考えるべき理由を考えていきます。
意外に関心度の高い20代の終活
近年、20代の間でも終活への関心が高まっています。ある調査によると、終活に対する意向は20代男性で45.9%、女性では48.8%と驚くほど高い数値を示しています。
これは単なる流行ではなく、現代社会の変化を反映した現象といえるでしょう。
特に新型コロナウイルスの流行により、若い世代も「死」について真剣に考える機会が増え、自分の死後に家族や周囲の人に負担をかけたくないという思いから、終活を意識する若者が増加しています。
また、デジタル社会の進展により、SNSアカウントやオンラインサービスなどのデジタル遺産の管理が新たな課題として浮上しています。
20代はデジタルネイティブ世代であり、こうしたデジタル資産の整理に対する意識も高いのが特徴です。
若いうちから自分の人生を主体的に設計したいという意識が高まり、終活を通じて将来の計画を立てる若者が増えているのです。
参考：終活に関する調査（楽天インサイト）
20代で終活を始めるメリット・デメリット
20代から終活には多くのメリットがあります。第一に、人生設計がより明確になるでしょう。
将来の目標や理想像を具体的に描くことで、日々の選択や計画がスムーズになり、漠然とした不安が解消されます。
長期的な視点から物事を判断する力も養われるでしょう。
また、デジタル遺産の管理がしやすくなります。SNSやオンラインサービスのアカウント情報やパスワードを整理することで、将来的なリスクを軽減できます。
これは自分のためだけでなく、万が一の際に家族や友人が困らないための配慮にもなるはずです。
家族とのコミュニケーションが深まるのも大きなメリット。
終活を通じて価値観を共有することで、家族との絆が強まります。
また、万が一の事態に備えて自分の意思を伝えておくと、家族の負担を軽減できます。
一方で、デメリットや注意点もあります。
若いうちから過度に死を意識しすぎると、不安や恐怖を感じる可能性があります。また、過剰な断捨離は生活を窮屈にしてしまうこともあるため、バランスを考えることが大切です。
さらに、終活に便乗した高額な保険や詐欺などのリスクもあります。
情報収集の際は信頼できる情報源を選び、慎重に判断することが重要です。
そもそも終活とは？基本から理解しよう
終活とは「人生の終わりについて考え、行動すること」を指します。
具体的には、自分の人生の最期に向けた準備や整理をおこない、残された家族の負担を減らすとともに、自分自身の残りの人生をより充実させるための活動です。
一般的に終活というと高齢者がおこなうものというイメージがありますが、実際には年齢に関係なく、自分の人生と向き合い、将来に備えるための取り組みです。
終活の目的とは？
終活の目的は大きく分けて「自分のため」と「家族のため」の二つがあります。
自分のための終活は、残りの人生を謳歌したり未練を残さないためにおこないます。
旅行に行くことや新しい趣味を見つけることも、人生を充実させるための終活の一環といえるでしょう。
また、老後の介護や治療に関して自分の希望を書き残しておくと、望んだ介護や医療を受けられる可能性が高まります。
家族のための終活は、残された家族が困らないよう、自分自身の情報をまとめたり、身辺を片付けておくことです。
キャッシュカードの暗証番号や本籍地の情報、交友関係など、故人しか知り得ない情報を事前にエンディングノートなどに記録しておくと、家族の負担を大幅に軽減できます。
終活は決して縁起が悪いものではなく、むしろ生命保険に加入するのと同じように、万が一のときに備える責任ある行動といえるでしょう。
エンディングノートの必要性と作成方法
エンディングノートは、自分の意思や希望、大切な情報を記録するためのツールです。
法的な拘束力はありませんが、残された家族にとって貴重な指針となります。
エンディングノートには主に以下のような項目を記載します：
- 自分の基本情報（氏名、生年月日、本籍地など）
- 財産や資産に関する情報（預貯金、不動産、保険など）
- 支払い情報（ローン、定期的な支払いなど）
- デジタル資産（ID・パスワード情報）
- 医療・介護に関する希望
- 葬儀やお墓についての希望
- ペットに関する情報と希望
- 家族や友人への感謝のメッセージ
- 遺言書の有無と保管場所
- 人生の振り返りや思い出
エンディングノートの作成にあたっては、いきなり全部を埋めようとせず、書きやすいところから少しずつ進めることが大切です。
市販のノートを利用する方法もありますが、自治体によっては無料のフォーマットを提供していることもあります。また、自分で自由に作成することも可能です。
20代の若さでエンディングノートを始めると、人生の目標や計画を明確にし、自分の価値観を見つめ直す機会になります。
特にデジタル世代である20代は、SNSやスマホのデータ整理も含めた「デジタル終活」の視点も取り入れるといいでしょう。
エンディングノートは一度作成したら終わりではなく、人生の節目や考え方が変わったときに見直し、更新していくもの。
若いうちから少しずつ書き始め、人生ともに育てていくノートとして捉えるといいでしょう。
【実践編】20代で始める終活！まずは何からする？
20代から終活を始めると、将来への備えと現在の生活の質が高まります。
身の回りの整理から始めて段階的に進めると、無理なく終活を習慣化できるでしょう。
ここでは、20代で始めておきたい終活の具体的な取り組みについてご紹介します。
まずは終活の目的・目標を決める
終活は一度に全てを完璧にする必要はなく、小さな一歩から始めることが大切です。特に20代の若い世代にとっては、負担にならない範囲で継続できる方法を選びましょう。
まずは自分の価値観や目標を明確にすることから始めます。
「どんな人生を送りたいか」「何を大切にしたいか」といった基本的な問いに向き合うと、終活の方向性が見えてきます。
何をするべきか悩んだときは、やることリストを作成するのがおすすめです。
- 身辺整理：不要な物の処分、大切な物の整理
- デジタル資産：アカウント情報の整理、パスワード管理
- 財産管理：資産の把握、将来の資金計画
- 健康・医療：健康管理の習慣化、医療に関する希望の記録
- 人間関係：大切な人との関係の見直し、感謝の気持ちの表現
これらの項目を一度に全ておこなう必要はなく、自分のペースで少しずつ進めていくことが大切です。
断捨離や不用品整理で身辺を整える
断捨離や不用品整理は、終活の第一歩として最適な取り組みです。物を減らすと生活空間がすっきりするだけでなく、心の余裕も生まれます。
20代は物が増えすぎていない時期なので、この段階から整理整頓の習慣をつけることが理想的。
日常的に使わないものを見直し、本当に必要なものだけを残すと、シンプルで快適な住環境を実現できるでしょう。
断捨離を実践すると、物を大切にする意識が自然と高まり、新たな物を購入する際にも「本当に必要かどうか」を考えるようになります。
これにより無駄な出費を抑え、経済的にも余裕が生まれやすくなるでしょう。
また、整理整頓の習慣は単なる物の管理にとどまらず、自分の価値観を見つめ直す機会になります。
「何を大切にしたいのか」「どんな生活を送りたいのか」という問いに向き合うことで、自分らしい生き方を模索するきっかけになるのです。
実践的なアプローチとしては、まずは使用頻度の低いものから始め、カテゴリーごとに整理していくのがおすすめ。
衣類、書籍、思い出の品など、分野別に整理すると作業が進めやすくなります。
特に思い出の品は感情的な判断が入りやすいため、「今の自分にとって本当に必要か」という基準で選別するといいでしょう。
デジタル遺品の整理とSNS・アカウント対策
現代の20代はデジタルネイティブ世代であり、多くのオンラインサービスやSNSアカウントを所有しています。
これらのデジタル資産の管理は、若い世代の終活において特に重要です。
デジタル遺品とは、スマートフォンやパソコンに保存されたデータ、SNSアカウント、オンラインバンキング、サブスクリプションサービスなど、デジタル上に存在する個人の資産や情報のこと。
万が一のことがあった際、これらの情報が適切に管理されていないと、遺族が手続きに困るケースが増えています。
興味深いことに、デジタル終活に関する調査では、20代が最も意識が高いという結果が出ています。
若い世代ほどデジタルサービスの利用率が高く、その重要性を理解しているためでしょう。
デジタル終活の具体的な手順
デジタル終活の具体的な方法としては、まずパスワード管理ツールを活用して重要な情報を一元管理することが効果的です。
定期的に使用していないアカウントを整理し、不要なものは削除するという習慣をつけましょう。
また、万一の際に家族が必要な情報にアクセスできるよう、重要なアカウント情報やパスワードのリストを作成し、信頼できる人に保管場所を伝えておくことも大切です。
特にオンラインバンキングやサブスクリプションサービスなど、定期的な支払いが発生するものは優先的に整理しておくべきでしょう。
SNSアカウントについては、各サービスが提供している「追悼アカウント設定」や「アカウント削除の自動化設定」などを確認し、自分の希望に合わせて設定しておくことをおすすめします。
これにより、万一の際にもプライバシーが守られ、遺族の負担も軽減できます。
20代の終活に関するQ&A
ここでは、20代の方々から寄せられる質問に焦点を当て、具体的な解決策を提案します。
Q.20代で終活を始めるのは早すぎませんか？
早すぎることはありません。若いうちから自分の人生と向き合うことは価値があります。
人生はいつ何が起こるか予測できません。死を迎える日は、明日かもしれないし、50年後かもしれません。
だからこそ、万が一に備えて準備しておくことが大切なのです。
Q.終活は何から始めればいいですか？
自分の価値観や大切にしたいものを整理することから始めましょう。
エンディングノートを用意して、自分の基本情報や将来の希望、大切な人への思いなどを書き留めてみましょう。
これは自分自身を見つめ直す良い機会となります。
Q.終活は暗いイメージがありますが、本当ですか？
終活は決してネガティブなものではありません。
むしろ、自分の人生を充実させるための前向きな活動です。
20代という若さだからこそ、将来の選択肢が広がり、充実した人生設計が可能になります。
Q.エンディングノートには何を書けばいいですか？
基本的には、自分の基本情報、財産・資産情報、医療・介護の希望、葬儀・お墓についての希望、家族や友人への感謝のメッセージなどを記載するといいでしょう。
特に20代の方は、将来の目標や実現したい夢なども書き添えるといいですね。
Q.エンディングノートはどこに保管すればいいですか？
家族に見つけてもらいやすい場所に保管し、その場所を家族に伝えておきましょう。
ただし、個人情報が多く含まれるため、安全な場所で管理する必要があります。
Q.エンディングノートは一度書いたら終わりですか？
いいえ、ライフステージの変化に合わせて定期的に更新することをおすすめします。
特に20代は環境や価値観が変わりやすい時期ですので、数年に一度は見直すといいでしょう。
更新日を記入しておくと、最新の意思が反映されていることが分かりやすくなります。
Q.20代からどのように資産形成を考えればいいですか？
現在の収支を把握し、将来のライフイベントに備えた資金計画を立てましょう。
時間という味方がある20代からの少額投資が将来の安心につながります。
Q.デジタル資産はどのように管理すればいいですか？
アカウント情報やパスワードを一覧にまとめ、セキュリティに配慮しながら、家族が必要なときにアクセスできる方法を考えておきましょう。
ただし、セキュリティ上のリスクを考慮し、エンディングノートには直接パスワードを記載しないでください。
Q.暗号資産（仮想通貨）は相続の対象になりますか？
暗号資産も通常の金融資産と同様に相続の対象となり、相続税の課税対象になります。
しかし、本人しか知らないパスワードで管理されているため、事前に家族に情報を伝えておかないと、資産が失われてしまう可能性があります。
Q.デジタルデータは死後どうなりますか？
Googleやアップルなどの大手IT企業では、アカウント無効化管理ツールやデジタルレガシー機能を提供しています。
これらのサービスを利用すると、指定した人にデータを引き継いだり、一定期間後に自動削除したりすることが可能です。
まとめ
20代からの終活は、人生の最終段階に向けた準備ではなく、より計画的で充実した人生を実現するための基盤づくりです。
断捨離による物理的・精神的な整理から始め、デジタル資産の管理体制を構築することで、現在の生活の質を高めながら将来のリスクを軽減できます。
完璧を目指すのではなく、自分のペースで継続的に取り組むことが重要。
20代という選択肢と可能性が広がる時期に、自らの人生を主体的に設計するのは、大変有意義な取り組みです。
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