おひとりさま終活に自治体の支援が必要な理由【今すぐできる準備】

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、65歳以上の単身高齢者は2040年に900万人規模になると予測されています。(出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」)。高齢者の権利を守り、尊厳ある生活を支えるため自治体による終活支援の整備が急務とされます。

遺骨の引き取り手がない事例も急増しており、神奈川県・横須賀市では過去30年間で5倍に増加とのこと。これは生前からの孤立や支援体制の不足が根本的な要因です。

そこで今回は、“おひとりさま終活”を支援する全国自治体のサポート体制や各種サービスについてご紹介します。

目次

自治体が提供する主な終活支援サービス

自治体による終活支援は、基本的に無料で利用できる公的サービスとして展開されています。各地域の実情に応じて、きめ細かなサポート体制を整備しているのです。具体的に見ていきましょう。

身元保証サービス

緊急連絡先やエンディングノートの保管場所、医療に関する希望など、重要な情報を自治体に登録します。たとえば、横須賀市では「終活情報登録伝達事業」として、11項目の情報を登録する制度を運営し、2024年時点ですでに670人以上が利用しています。

死後事務委任契約のサポート

自治体と協力葬儀社が連携し、葬儀や納骨に関する生前契約をサポートします。横須賀市の「エンディングプラン・サポート事業」では、低所得の単身高齢者を対象に、26万円程度で葬儀や納骨までを包括的にサポートします。

エンディングノート作成支援

全国約300の自治体で、エンディングノートの無料配布や作成支援をおこなっています。これにより、自身の希望を明確に記録し、将来への不安を軽減します。

生活支援サービス

日常生活の見守りや配食サービス、安否確認など、生活全般をサポートするサービスを提供しています。特に都市部では、東京・豊島区を筆頭に包括的な支援体制を構築する自治体が増えています。

葬儀・お墓のサポート

自治体と提携した葬儀社による適正価格での葬儀プランの提供や、納骨に関する相談支援をおこなっています。兵庫県・高砂市では「エンディングプラン・サポート事業」として、葬儀や納骨までトータルでのサポートを実施しています。

専門家による無料相談会

相続、遺言、葬儀など、終活に関する専門的な相談に対応する窓口を設置しています。豊島区では「終活あんしんセンター」を開設し、約2000件の相談に対応しています。

終活サポートの利用方法と相談窓口

終活に関する相談窓口は、主に市区町村役所の福祉課や介護保険課、地域包括支援センターで受け付けています。市区町村役所では、終活に関する基本的な相談から各種手続きまで、幅広い支援を提供。また、相談内容に応じて、専門家による無料相談会も定期的に開催しています。

地域包括支援センターでは、65歳以上の高齢者とその家族を対象に、より専門的な相談支援をおこなっています。介護や健康に関する不安から成年後見制度の利用まで、生活全般に関わる包括的なサポートを受けられるのが魅力です。

利用に必要な書類と登録情報

終活支援サービスの利用には、本人確認書類と終活情報登録申請書が必要です。本人確認書類は、運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きのものが1点、または健康保険証など顔写真なしの場合は2点必要です。

登録できる情報には、次のようなものがあります:

緊急連絡先

かかりつけ医やアレルギー情報

エンディングノートの保管場所

葬儀や遺品整理の生前契約情報

実際に終活サービスを利用した人の声

事例1:70代女性Aさんの場合

「一人暮らしで親族もいないため、もし入院することになったらどうしようと、ずっと不安で。区役所に相談に行ったところ、身元保証制度のことを教えてもらいました。24時間体制で見守ってくれる民間のサービスも紹介してもらい、両方を利用することにしました。制度を利用してからは、体調が悪くなった時も安心して病院に行けるようになりましたね。先生から『保証人の手続きが整っていて助かります』と言われ、本当に安心しました」

事例2:80代男性Bさんの場合

「妻に先立たれてから、通帳や印鑑の管理が不安でした。認知症の心配もあり、子どもはいないので、これからどうしようかと頭を悩ませていました。市役所に相談したところ、成年後見制度と終活支援を組み合わせて利用することを提案されて。今は専門家に財産管理を任せられて、本当に安心です。支払い忘れの心配もなくなりました。何より、これからのことを相談できる人がいるというのが心強いですね」

“おひとりさま終活”を支援!先進的な自治体の取り組み事例

横須賀市「わたしの終活登録」制度

横須賀市は2015年から先駆的に終活支援を開始しました。「わたしの終活登録」制度では、市民なら誰でも無料で登録できる仕組みを整えています。登録できる情報には、緊急連絡先、かかりつけ医の情報、エンディングノートの保管場所、生前契約した葬祭事業者などが含まれます。

四日市市の情報登録制度

四日市市は2024年6月から「高齢者終活支援事業」を本格的に開始し、高齢福祉課内に専門の相談窓口を設置しました。エンディングノート作成支援、財産・所持品の整理に関する相談、遺言書作成支援、葬儀やお墓に関する相談などのサービスを提供しています。

大和市のエンディングサポート

大和市は2023年に全国初となる「終活支援条例」を制定し、体系的な支援体制を構築しています。終活コンシェルジュによる個別相談、葬儀の生前契約支援、遺贈寄付の受け入れなどを実施しています。所得や世帯による制限を設けず、市内在住者の親族に関する相談も受け付けるなど、幅広い対象者への支援をおこなっています。

おひとりさま終活の費用と予算別プラン

終活支援サービスの一般的な料金体系は次のとおりです:

  • 基本プラン:38.5万円~(身元保証、健康相談)
  • 標準プラン:110万円~(生活支援、死後事務含む)
  • 総合プラン:150万円~(財産管理、成年後見含む)

24時間体制の見守りや緊急時対応、死後事務の代行など、きめ細かいサポートを受けられます。特に、医療機関への入院時の身元保証や、葬儀・納骨までの一括サポートは、おひとりさまの大きな不安を解消する重要なサービスとなっています。

よくある質問(FAQ)

終活支援の相談窓口はどこにあるの?

終活の相談窓口は、市区町村役所の担当窓口(福祉課、介護保険課など)、地域包括支援センター、民間の終活サポートセンターにあります。自治体では、市役所内や特設会場にて、無料の終活相談窓口を設けています。

身寄りがない場合はどうすればいい?

  • 身寄りがない方は、特に早めの準備が重要です。健康なうちから次の準備を進めます:
  • エンディングノートの作成
  • 見守りサービスの利用検討
  • 老後資金の計画立案
  • 遺言書の準備
  • 介護や入院の準備

死後事務の依頼先はどこにある?

死後事務は、弁護士や司法書士などの専門家、信頼できる友人や知人、行政書士に依頼します。専門家に依頼する場合、費用は発生しますが、手続きを確実に遂行してもらえる利点があります。また、相続関連の相談もまとめておこなえます。

まとめ:充実した人生のための終活支援活用法

自治体による終活支援は、おひとりさまの方々の人生に寄り添う重要な制度です。支援制度を効果的に活用するために、早めの情報収集と準備が欠かせません。

各自治体の支援内容は年々充実していますが、サービスの内容は地域によって異なります。お住まいの地域でどのような支援が利用できるか、あらかじめ確認しておきましょう。

終活は、これからの人生をより豊かにするための準備です。自治体の支援制度を上手に活用し、安心して自分らしい生活を送りましょう。不安なことがあれば、まずは市区町村の窓口に相談してみることをお勧めします。


※自治体の支援内容は地域や時期によって変更される場合があります。最新の情報は各自治体にご確認ください。

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