ゆうちょ銀行の相続手続き【必要書類・費用・期間・6ステップの流れを行政書士が解説】

📋 この記事でわかること

  • ゆうちょ銀行の相続は「相続確認表」の提出から始まる独自の流れがある
  • 必要書類の通知まで約1〜2週間。全体では1〜2ヶ月の余裕を見ておく
  • 相続Web案内サービスを使えば来店が1回に短縮でき、手続き期間も大幅に圧縮できる

ゆうちょ銀行の相続手続きでもっとも重要なのは、他行と異なる「独自の書類と流れ」を把握することです。

一般的な銀行は死亡届を提出すると窓口でそのまま必要書類を案内してくれますが、ゆうちょ銀行は「相続貯金事務センター」が手続きを一括管理するため、最初に「相続確認表」を提出してから必要書類が郵送で案内されます。この流れを知らずに準備を始めると、書類不備や二度手間になりやすいでしょう。

本記事では、ゆうちょ銀行の相続手続きの6ステップと必要書類を、行政書士の視点から整理します。遺言書のあり・なし別の書類一覧と、よくある失敗事例も合わせて解説しますので、手続き前にひととおり確認してください。

※本記事は2026年3月時点の情報をもとに作成しています。


目次

ゆうちょ銀行の相続が他行と違う3つのポイント

ゆうちょ銀行の相続手続きには、三菱UFJ銀行や三井住友銀行などの一般的な銀行と異なる特徴があります。

事前に把握しておくことで、無駄な往復を防げます。

窓口ではなく「相続貯金事務センター」で処理される

ゆうちょ銀行の相続手続きは、全国の郵便局・ゆうちょ銀行の窓口で受け付けますが、実際の審査や手続きは「相続貯金事務センター」が一括で担当します。

そのため、窓口では書類の受け付けと転送のみとなり、その場で完結する手続きはほとんどありません。手続き完了まで一定の日数がかかる仕組みです。

最初に「相続確認表」という独自書類が必要

他行では死亡届の提出とともに必要書類を案内してもらえることが多いですが、ゆうちょ銀行では「相続確認表」を提出するのが最初のステップです。

相続確認表は、被相続人と相続人の関係、口座情報などを記載するゆうちょ銀行独自の書類です。提出後、相続貯金事務センターから改めて必要書類が郵送で案内されます。

相続Web案内サービスで来店回数を1回に減らせる

通常の手続きでは「相続確認表の提出」「必要書類の提出」の最低2回来店が必要です。

一方、相続Web案内サービスを利用すると、手続きに必要な書類をWeb上で確認できるため、来店が原則1回に短縮されます。遠方に住んでいる方や平日に時間が取りにくい方は積極的に活用を検討してください。


必要書類一覧【遺言書あり・なし別】

必要書類は遺言書の有無によって異なります。

事前にどちらのパターンに該当するかを確認したうえで、書類の収集を進めてください。

遺言書がない場合の必要書類

書類 取得先 備考
被相続人の連続戸籍謄本(婚姻から死亡まで) 市区町村役場 婚姻前の本籍地でも取得が必要なケースあり
相続人全員の戸籍謄本 各本籍地の市区町村役場
相続人全員の印鑑登録証明書 住民登録地の市区町村役場 発行から3ヶ月以内のものが一般的
被相続人の通帳・証書・キャッシュカード 手元にあるもの 紛失していても手続き可能
遺産分割協議書(作成している場合) 相続人間で作成 相続人全員の実印が必要

遺産分割協議書を作成していない場合は、相続人全員が署名・押印した「相続手続き請求書」をゆうちょ銀行の指定書式で提出します。

遺言書がある場合の必要書類

書類 取得先 備考
被相続人の戸籍謄本(連続したもの) 市区町村役場
遺言書の写し 手元 or 公証役場 自筆・秘密証書は「検認済み」のものが必要
相続人・遺言執行者の印鑑登録証明書 住民登録地の市区町村役場
遺言執行者選任審判書(家裁選任の場合) 家庭裁判所 家庭裁判所が選任した場合のみ

公正証書遺言の場合は検認が不要ですが、自筆証書遺言・秘密証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが完了している必要があります(民法第1004条)。

書類取得の際の注意点

戸籍謄本は「連続性」が重要です。被相続人が転籍している場合、過去の本籍地にも遡って取得する必要があります。改製原戸籍・除籍謄本が含まれることも多く、取得先と取得方法が複数になるケースがあります。

印鑑登録証明書は有効期限がある場合があるため、書類提出のタイミングで有効かどうかを確認してください。


手続きの流れ【6ステップ・所要期間の目安つき】

全体の手続き期間の目安は、スムーズに進んだ場合で1〜2ヶ月程度です。

書類の不備や遺産分割協議が長引く場合はさらに時間がかかります。相続税の申告期限(死亡から10ヶ月以内)を念頭に置きながら、余裕を持って進めてください。

STEP1:相続の申し出(速やかに)

最寄りのゆうちょ銀行・郵便局の貯金窓口、または相続コールセンター(0120-312-279)に連絡します。

申し出を受けた時点で、被相続人の口座は「停止設定」されます。この時点では口座の入出金ができなくなりますが、手続きを進めるために必要なステップです。

STEP2:相続確認表の提出(速やかに)

相続確認表を記入して窓口に提出します。

被相続人の名前・生年月日・口座番号と、相続人の氏名・続柄などを記載する書類です。来店予約を利用すると待ち時間を短縮できます。

相続Web案内サービスを利用する場合は、Web上で相続確認表の代わりになる案内を受けることができます。

STEP3:必要書類の案内を受ける(提出後1〜2週間)

相続確認表を提出してから約1〜2週間で、相続貯金事務センターから必要書類の案内が郵送されます。

この間は自分でできることは限られますが、戸籍謄本の収集など準備できる書類は先に動き始めておくとスムーズです。

STEP4:必要書類の収集と準備(1〜3週間程度)

案内されたリストに従って書類を収集します。

戸籍謄本は本籍地が複数にわたる場合、取り寄せに2週間以上かかるケースがあります。遺産分割協議書の作成が必要な場合は、相続人全員の合意形成と実印の収集にも時間がかかります。

STEP5:書類の提出(来店1〜2回)

準備した必要書類の原本をゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口に提出します。

書類は原本の提出が原則です。返却を希望する場合は、提出時に申し出てください。コピーでの代替が認められるケースもありますが、事前に窓口への確認をおすすめします。

STEP6:払戻金の受け取り(1〜4週間)

書類の提出後、入金完了まで次の期間が目安です。

  • 貯金払戻証書・通常貯金口座での受け取り:約1〜2週間
  • 他の金融機関口座への振り込み:約3〜4週間

書類に不備があった場合や手続きが混み合っている場合は、さらに時間がかかる可能性があります。


よくある失敗と注意点

戸籍謄本の「連続性」で不備になるケース

最も多い失敗は、戸籍謄本の連続性が途切れているケースです。

被相続人が転籍・改姓・改製(法律改正による戸籍の作り直し)を経ている場合、複数の役所で複数の戸籍を取得する必要があります。「改製原戸籍」や「除籍謄本」が含まれることを見越して、本籍地の変遷を先に整理してから取得作業を始めてください。

書類の「原本」が必要な理由

ゆうちょ銀行への提出書類は基本的に原本が必要です。コピーを提出してしまうと、審査が通らず手続きが振り出しに戻る可能性があります。

複数の金融機関で同時に相続手続きを進める場合は、各機関に原本を同時に提出できないため、「原本還付」の手続きを各窓口で申し出るか、追加で戸籍謄本を取得しておくことを検討してください。

複数の金融機関と並行する場合の注意

被相続人が複数の金融機関に口座を持っている場合、並行して手続きを進めるには原本の数が問題になります。

戸籍謄本や印鑑登録証明書は必要な枚数分をあらかじめ多めに取得しておくか、「法定相続情報証明制度」(法務省)を活用することで、一枚の証明書で複数機関に対応できるケースがあります。法務局で無料で取得できますので、相続人が多いケースや口座数が多い場合は検討の価値があります。


よくある質問(FAQ)

Q:ゆうちょ銀行の相続手続きは郵送でできますか?

できません。相続確認表の提出と必要書類の提出は、ゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口への来店が必要です。相続Web案内サービスを使うことで来店回数を1回に減らすことはできます。

Q:口座が凍結されたらATMで引き出しできませんか?

できません。相続の申し出をした時点で口座は停止設定になり、入出金ができなくなります。急ぎで資金が必要な場合は、民法第909条の2に基づく「遺産分割前の払戻し」制度を利用できる可能性があります。各口座残高の3分の1に法定相続分を乗じた額まで、各相続人が単独で金融機関に請求できます(家庭裁判所への申立は不要です)。それ以上の金額が必要な場合は、家庭裁判所への仮処分申立も選択肢です。詳細は金融機関または弁護士・司法書士にご確認ください。

Q:手続きの完了までどのくらいかかりますか?

書類に不備がなくスムーズに進んだ場合で1〜2ヶ月程度が目安とされています。戸籍謄本の収集や遺産分割協議に時間がかかるケースでは3ヶ月以上になることもあります。相続税の申告・納付期限(死亡から10ヶ月以内)を意識して、早めに着手することをおすすめします。

Q:遺産分割協議書がない場合でも手続きできますか?

できます。遺産分割協議書がない場合は、ゆうちょ銀行の指定書式「相続手続き請求書」に相続人全員の署名と実印の押印が必要です。相続人の人数が多い場合は、署名・押印の収集に時間がかかるため早めの対応が必要です。

Q:代理人が手続きを行うことはできますか?

できます。委任状と代理人の印鑑登録証明書があれば、代理人による手続きが可能です。委任状の書式はゆうちょ銀行の窓口で入手できます。


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Q:ゆうちょ銀行の相続手続きにかかる費用はいくらですか?

ゆうちょ銀行への手数料は原則無料です。ただし、相続手続きに必要な書類の取得費用(戸籍謄本:450円・住民票:数百円など)が発生します。行政書士に依頼する場合は3〜10万円前後が目安です。複数の相続人がいて遺産分割協議が必要な場合は、専門家への相談をおすすめします。

Q:ゆうちょ銀行の相続手続きはどのくらいの期間がかかりますか?

書類が揃っていれば1〜2ヶ月程度が目安です。戸籍収集に時間がかかるケース(出生から死亡までの連続した戸籍が必要)や、遺産分割協議に時間がかかるケースでは3〜6ヶ月以上かかることもあります。相続放棄の期限(相続を知った日から3ヶ月)や相続税申告の期限(死亡を知った日から10ヶ月)があるため、早めに動き出すことが重要です。

まとめ

ゆうちょ銀行の相続手続きは、他の銀行と比べて独自の流れがある点が特徴です。

  • 最初のステップは「相続確認表」の提出
  • 必要書類の案内は提出後1〜2週間で郵送される
  • 遺言書のあり・なしで必要書類が異なる
  • 相続Web案内サービスで来店を1回に短縮できる
  • 全体の目安は1〜2ヶ月。書類の連続性と原本の確保がポイント

手続きに不安がある場合や、相続人が多い・遺産が複雑な場合は、行政書士・司法書士への相談を検討してください。早めに専門家に相談することで、手続きの漏れや申告期限の超過を防ぐことができます。


参考資料・一次ソース


免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・医療的助言を行うものではありません。具体的な手続きや判断については、弁護士・行政書士・医師等の専門家にご相談ください。掲載情報は2026年3月時点のものであり、法改正等により変更となる場合があります。

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監修・執筆:井上剛志
行政書士/終活カウンセラー上級/成年後見制度アドバイザー/宅地建物取引士
相続・不動産・終活分野の手続きを専門とする行政書士。おくりびとジャーナルにて制度・法律・費用に関する記事を執筆。

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      この記事を書いた人

      井上剛志のアバター 井上剛志 行政書士・終活カウンセラー上級

      行政書士として相続・遺言・成年後見などの実務に従事し、終活分野の相談を多数対応。終活カウンセラー上級、成年後見制度アドバイザー、宅地建物取引士の資格を活かし、法的リスクへの備えや不動産整理まで総合的にカバーしています。親の介護と相続を経験したことから、実務知識と当事者視点をあわせた情報提供を重視。読者にとって「すぐに使える終活知識」をモットーに、わかりやすく丁寧な解説を行います。

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