公正証書遺言の費用と作り方【公証人手数料の計算・手順を行政書士が解説】

「遺言書を書こうと思っているが、公正証書遺言は費用が高そう、手続きが複雑そう」と感じて先送りにしていませんか。実際には、財産総額3,000万円程度の場合、公証人手数料は2〜3万円程度と、それほど高くはありません。

公正証書遺言の最大のメリットは「確実性」です。自筆証書遺言に必要な家庭裁判所での「検認」が不要で、原本が公証役場に保管されるため紛失や改ざんの心配もありません。法的に最も安心できる遺言の形式とされています。

本記事では、公正証書遺言の費用内訳(公証人手数料の計算方法・証人費用・専門家報酬)と、作成の手順・必要書類を行政書士が解説します。

📋 この記事でわかること
  • 公正証書遺言の費用は「公証人手数料(財産額で変動)+証人2人への謝礼+専門家報酬」の合計
  • 財産総額3,000万円の場合、公証人手数料の目安は3〜5万円程度
  • 公正証書遺言は家庭裁判所の検認が不要で、紛失・改ざんのリスクもない
目次

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証人(法務大臣が任命した法律の専門家)が関与して作成する遺言書です(民法第969条)。公証役場で作成し、原本は公証役場に保管されます。自筆証書遺言と異なり、家庭裁判所での「検認」手続きが不要で、紛失・改ざんのリスクもありません。

公正証書遺言の費用内訳

①公証人手数料(法定料金)

公証人手数料は「相続人に渡す財産の価格」によって決まります(公証人手数料令第9条)。目安は以下の通りです。

  • 財産額100万円以下:5,000円
  • 財産額200万円以下:7,000円
  • 財産額500万円以下:11,000円
  • 財産額1,000万円以下:17,000円
  • 財産額3,000万円以下:23,000円
  • 財産額5,000万円以下:29,000円
  • 財産額1億円以下:43,000円

相続人が複数いる場合は、各相続人への財産額ごとに手数料が計算されます。

②証人2人への謝礼

公正証書遺言の作成には証人2人の立会いが必要です(民法第969条第1号)。行政書士・司法書士等の専門家に依頼する場合は1人あたり1〜3万円程度が目安です。知人・友人に依頼する場合は謝礼は不要ですが、未成年者・推定相続人・受遺者等は証人になれません。

③専門家への報酬(任意)

行政書士・司法書士に遺言書の文案作成から公証役場との調整・立会いまでを依頼する場合の報酬は、5〜20万円程度が目安とされています。

公正証書遺言の作成手順

  • ①遺言の内容を整理する(財産の一覧・各相続人への分割方針)
  • ②行政書士・司法書士に相談(文案作成を依頼する場合)
  • ③公証役場に事前予約・必要書類を持参して打ち合わせ
  • ④公証人が遺言書の文案を作成
  • ⑤公証役場で証人2人立会いのもと遺言書に署名・押印
  • ⑥原本は公証役場に保管、正本・謄本が交付される

自筆証書遺言との比較

  • 費用:自筆証書遺言(数千円〜)<公正証書遺言(数万円〜)
  • 安全性:公正証書遺言が高い(紛失・偽造リスクなし・検認不要)
  • 作成の手軽さ:自筆証書遺言が容易(一人で作成可能)
  • 法的効力:両方とも適切に作成すれば同等

よくある質問

Q. 遺言書の内容は後から変更できますか?

変更できます。新しい公正証書遺言を作成することで、以前の遺言書は撤回されます(民法第1022条)。日付が新しい遺言書が優先されます。

Q. 公正証書遺言の検索はできますか?

できます。日本公証人連合会の「遺言検索システム」を利用すると、全国の公証役場に保管されている公正証書遺言を照会できます。相続発生後に相続人が申請することで利用できます。

費用の計算例(財産3,000万円・相続人2人の場合)

たとえば財産が「不動産1,500万円・預貯金1,500万円」で相続人が子2人(それぞれ1,500万円ずつ取得)の場合、公証人手数料の計算は以下のようになります。

費用項目 金額目安
公証人手数料(1,500万円×2人分) 23,000円×2 = 46,000円
証人2人への謝礼(専門家依頼の場合) 1〜3万円×2人 = 2〜6万円
行政書士等への報酬(任意) 5〜20万円程度
合計目安 8〜27万円程度(専門家依頼の有無で変動)

公証役場に持参する書類

  • 遺言者の印鑑証明書(3ヶ月以内)・実印
  • 遺言者の戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本(相続人との関係を証明)
  • 財産の資料:不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書、預貯金の通帳のコピーなど
  • 証人2人の氏名・住所・生年月日・職業(証人が用意するもの)

まとめ

  • 公正証書遺言の費用は公証人手数料+証人謝礼+専門家報酬の合計
  • 財産3,000万円の場合の公証人手数料目安は2〜3万円程度
  • 検認不要・紛失リスクなし。確実に遺志を残したい場合は公正証書遺言が優れている
  • 日本公証人連合会の遺言検索システムで死後に検索が可能

参考資料・一次ソース

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・医療的助言を行うものではありません。具体的な手続きや判断については、弁護士・行政書士・税理士等の専門家にご相談ください。掲載情報は執筆時点のものであり、法改正等により変更となる場合があります。
監修・執筆:井上剛志
行政書士/終活カウンセラー上級/成年後見制度アドバイザー/宅地建物取引士
相続・不動産・終活分野の手続きを専門とする行政書士。おくりびとジャーナルにて制度・法律・費用に関する記事を執筆。

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    この記事を書いた人

    井上剛志のアバター 井上剛志 行政書士・終活カウンセラー上級

    行政書士として相続・遺言・成年後見などの実務に従事し、終活分野の相談を多数対応。終活カウンセラー上級、成年後見制度アドバイザー、宅地建物取引士の資格を活かし、法的リスクへの備えや不動産整理まで総合的にカバーしています。親の介護と相続を経験したことから、実務知識と当事者視点をあわせた情報提供を重視。読者にとって「すぐに使える終活知識」をモットーに、わかりやすく丁寧な解説を行います。

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