「私が倒れたとき、誰が入院の手続きをしてくれるのだろう」「亡くなった後、誰が部屋を片付けて、葬儀を手配してくれるのか」——おひとりさまにとって、終活の不安はそのほとんどが「誰が」という問いに集約されます。
答えは明確です。生前に「任意後見契約」「死後事務委任契約(→ 終活協議会(心託サービス)の料金・評判)」「遺言書」の3つを整えておけば、判断能力が低下したときも、亡くなった後も、信頼できる人が動いてくれる仕組みが整います。「誰が」を事前に決めておくことが、おひとりさまの終活のすべてです。
本記事では、おひとりさまが最優先で準備すべき3つの契約・書類の内容と費用、加えてエンディングノートとデジタル終活の整備まで、行政書士が解説します。
- おひとりさまの最大のリスクは「誰が手続きをするか問題」。生前に任意後見人・死後事務委任契約で解決できる
- 法定相続人がいない場合、財産は最終的に国庫に帰属する。遺言書で行き先を指定できる
- デジタル終活(パスワード・アカウント管理)はおひとりさまこそ特に重要
おひとりさまの終活が重要な理由
配偶者・子がいる場合は、家族が自然に手続きをおこなう流れがあります。一方、おひとりさまの場合は「誰が入院手続きをするか」「誰が葬儀を手配するか」「誰が相続手続きをするか」を事前に決めておかなければ、すべてが宙に浮くことになります。
おひとりさまが準備すべきこと:優先順位順
| 準備すること | 目的 | 費用目安 | いつ動く? |
|---|---|---|---|
| ①任意後見契約 | 判断能力が低下したときの財産管理・手続き | 公正証書作成費用2〜3万円+専門家報酬(月1〜3万円程度) | 元気なうちに契約 |
| ②死後事務委任契約 | 亡くなった後の葬儀・役所届出・部屋の退去など | 30〜80万円程度(依頼範囲による) | 元気なうちに契約 |
| ③遺言書 | 財産の行き先を指定(国庫帰属を防ぐ) | 自筆証書:数千円〜、公正証書:数万円〜 | できるだけ早く作成 |
①任意後見契約(判断能力が低下したときの備え)
判断能力がある元気なうちに、信頼できる人(友人・NPO・専門家)と「任意後見契約」を結んでおきます(任意後見契約に関する法律第2条)。認知症になった後に財産管理・介護施設への入所手続きを代わりにおこなってもらえます。法定後見よりも自分で後見人を選べる点が大きなメリットです。
②死後事務委任契約
「死後事務委任契約」とは、死後の葬儀・役所への届出・施設の退去手続き・各種解約等を代わりにおこなってもらう契約です。信頼できる友人・行政書士・NPO等と生前に契約しておきます。費用の目安は30〜80万円程度が多く、依頼範囲によって異なります。
③遺言書の作成
法定相続人がいない場合、遺言書がないと財産は最終的に国庫に帰属します(民法第959条)。友人・団体・寄付したい先がある場合は、遺言書(特に公正証書遺言)で受取先を指定しておくことが重要です。
④エンディングノートの整備
緊急連絡先・かかりつけ医・服薬情報・財産の場所・デジタルアカウントのパスワードを整理しておきます。見つけやすい場所に保管し、信頼できる人に場所を伝えておきましょう。
⑤デジタル終活
おひとりさまは特にデジタル終活が重要です。スマートフォンのロック解除コード・ネットバンキングのID・サブスクリプションの一覧を整理しておかないと、死後に誰も対処できなくなります。AppleのDigital Legacy機能・GoogleのAIAMの設定も検討してください。
相談できる窓口・サービス
- 社会福祉協議会:日常生活自立支援事業(認知症等で判断能力が低下した方の支援)
- NPO法人:終活・死後事務委任の支援をおこなう団体が各地にある
- 行政書士・司法書士:任意後見契約・遺言書・死後事務委任の作成を専門家が支援
- 地域包括支援センター:介護・生活支援の相談窓口(65歳以上・要支援者向け)
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よくある質問
Q. 身寄りがない場合、死後の手続きは誰がやってくれますか?
死後事務委任契約を結んでいない場合、自治体が「死亡届」等の行政手続きをおこなうことがあります。ただし、財産の整理・葬儀の手配等はカバーされないため、事前の準備が重要です。
Q. 「おひとりさまの相続」で財産が国に行かないようにするには?
遺言書を作成して、受取人(友人・団体・寄付先等)を指定します。受取人のいない財産は最終的に国庫帰属となります(民法第959条)。
まとめ
- おひとりさまの3大準備:任意後見契約・死後事務委任契約・遺言書
- 法定相続人がいない場合は遺言書で財産の行き先を必ず指定する
- デジタル終活は特に重要。スマホのPINコードと主要アカウントを整理しておく
- 地域包括支援センター・社会福祉協議会への相談も選択肢のひとつ
参考資料・一次ソース
行政書士/終活カウンセラー上級/成年後見制度アドバイザー/宅地建物取引士
相続・不動産・終活分野の手続きを専門とする行政書士。おくりびとジャーナルにて制度・法律・費用に関する記事を執筆。
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※ 掲載情報は執筆時点のものです。具体的な手続きは専門家にご相談ください。


