成年後見制度は、認知症になった方の財産・生活を守るための制度です。しかし「使い始めたら途中でやめられない」「後見人の報酬が毎月かかり続ける」「親族が後見人に選ばれないケースがある」といったデメリットを知らずに申立てをして、後悔する家族が後を絶ちません。
この記事では、成年後見制度の7つのデメリットを具体的に解説し、向いているケース・向いていないケース(家族信託との比較)もまとめました。利用前に必ず確認してください。
- 成年後見制度を開始すると原則として本人が亡くなるまで後見が続く
- 後見人の報酬が毎月2〜6万円程度かかるため長期的な費用負担がある
- 親族が後見人に選ばれない場合がある。選ばれても家庭裁判所の監督下に置かれる
成年後見制度とは(簡単なおさらい)
成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害等で判断能力が低下した方を支援するため、家庭裁判所が後見人を選任する制度です(民法第7条〜第21条)。後見人は本人に代わって財産管理・契約・介護施設への入所手続き等をおこないます。
成年後見制度のデメリット7つ
①一度始めると原則として途中でやめられない
後見開始の審判がなされると、本人が亡くなるまで後見は継続します。「不要になったから取り消したい」とはならないのが原則です。判断能力が回復した場合は家庭裁判所への申し立てで取消が可能ですが、認知症が改善するケースは限られます。
②費用が長期的にかかる
後見人の報酬は家庭裁判所が決定し、一般的に月2〜6万円程度が目安とされています。10年間利用すると240〜720万円程度の費用が発生する計算です。申立費用(約10〜15万円)も別途かかります。
③親族が後見人に選ばれない場合がある
後見人候補者として親族を申請しても、家庭裁判所が弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門職後見人を選任するケースがあります。専門職後見人の場合は月2〜6万円の報酬が発生します。
④財産管理に制約がある
後見人は「本人の利益のため」に財産管理をおこなうため、家族への生前贈与・節税対策・不動産の売却等に制限がかかる場合があります。家庭裁判所の許可なしに大型の財産処分はできません。
⑤家庭裁判所への定期報告が必要
後見人は年1回以上、家庭裁判所へ財産状況の報告をおこなう義務があります。書類の準備・提出が継続的な手間となります。
⑥身上監護はできるが医療同意はできない
後見人は介護施設への入所手続き等(身上監護)はできますが、医療行為への同意は後見人の権限外とされています(現行法上)。
⑦制度開始後の変更・取消が難しい
後見の取消・変更は家庭裁判所が判断するため、一般の契約のように当事者の意思で変更することはできません。
成年後見制度が向いているケースと向いていないケース
向いているケース
- すでに認知症が進行して判断能力が低下している
- 施設入所の契約や医療の手続きで後見人の権限が必要
- 財産管理のトラブルを防ぎたい(複数の相続人間の争い防止等)
向いていないケース(家族信託を検討すべき)
- まだ判断能力があり、事前に財産管理の仕組みを作りたい
- 節税対策・不動産の積極的な活用を続けたい
- 制度の費用負担を最小限にしたい
よくある質問
Q. 家族信託と成年後見制度はどちらがいいですか?
判断能力がある段階では家族信託が柔軟性・費用面で有利なケースが多いです。判断能力が低下してからは家族信託は組めないため、成年後見制度の利用を検討することになります。
Q. 法定後見と任意後見の違いは何ですか?
法定後見は判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選任する制度、任意後見は判断能力があるうちに本人が後見人を指定できる制度です(任意後見契約に関する法律)。任意後見は事前に信頼できる人を指定できるため、判断能力があるうちに検討することをおすすめします。
まとめ
- 成年後見制度を開始すると原則として本人が亡くなるまで継続する
- 後見人の報酬は月2〜6万円程度が目安で、長期費用の計算が必要
- 親族が後見人に選ばれないケースがある。専門職後見人になると費用発生
- 判断能力があるうちは家族信託・任意後見の検討が有効
参考資料・一次ソース
行政書士/終活カウンセラー上級/成年後見制度アドバイザー/宅地建物取引士
相続・不動産・終活分野の手続きを専門とする行政書士。おくりびとジャーナルにて制度・法律・費用に関する記事を執筆。
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※ 掲載情報は執筆時点のものです。具体的な手続きは専門家にご相談ください。

