【2025最新】墓じまいとは?方法や費用、考えるきっかけをご紹介

「お墓が遠くて、なかなかお参りに行けない」「子どもたちに負担をかけたくない」と感じていませんか?

最近、そのような悩みを抱える方が見られます。でも、お墓をどうしたらいいのか迷ってしまいますよね。

そんなときに選ばれているのが「墓じまい」という方法なんです。

これは、今あるお墓を整理して、ご遺骨を新しい場所で供養し直す取り組み。

厚生労働省の統計によると、改葬(墓じまい)の件数は年々増えており、令和3年度には約11万8千件と過去最高を記録しています。特に40代から50代の方を中心に選ぶ人が増えているのが現状です。

この記事では、墓じまいについて詳しくお話ししていきます。手続きの流れや費用、注意点まで、安心して進められる方法をやさしくお伝えしていきますね。

出典:衛生行政報告例

目次

墓じまいとは|ご先祖様への想いを未来につなぐ新しいかたち

墓じまいとは、現在のお墓を管理・維持することが難しくなったとき、そのお墓を撤去して更地に戻し、取り出したご遺骨を別の場所で永続的に供養することをいいます。

これは、お墓を放置して無縁仏にしてしまうことを避けるための、責任ある選択といえるでしょう。

お参りが困難になったこと、管理する人がいないこと、体力的に維持が難しくなったこと、子どもに負担をかけたくないという親心、そして経済的な負担を軽くしたくないことから、墓じまいを考える人が増えているようです。

また、ご遺骨を別の場所に移す行為は、「墓地、埋葬等に関する法律」において「改葬」と定義されています。

詳しくは後述しますが、墓じまいを行うには、現在お墓がある市区町村の役所で「改葬許可証」を取らなければなりません。

許可なくご遺骨を移動させることは法律で禁じられているので、きちんと手続きを踏むことが重要なのです。

墓じまいと改葬の違い|知っておきたい基本知識

「墓じまい」と「改葬」はしばしば同じ意味で使われますが、厳密にはニュアンスが異なります。

墓じまいが一般的な通称であるのに対し、改葬は法律に基づいた正式な行政手続きを指す言葉なんです。

両者の違いを理解するために、以下の表で比べてみましょう。

項目墓じまい改葬
言葉の性質一般的な通称・慣習的な表現法律(墓地埋葬法)で定められた正式名称
指し示す範囲親族の合意形成から墓石撤去、新しい納骨先での供養までを含む一連の行為全体主に、ご遺骨を現在の墓地から新しい納骨先に移すための行政手続き
主な目的お墓の維持管理に関する問題の解決ご遺骨の移動を法的に許可すること
法的義務義務ではないが、改葬許可申請は必須法律で定められた義務的な手続き

改葬手続きの中心となるのが「改葬許可証」の取得。許可証を得るためには、まず新しいご遺骨の受け入れ先から「受入証明書」を発行してもらいます。

次に、現在のお墓の管理者から「埋葬証明書」を取ります。これら2つの書類と、役所で入手する「改葬許可申請書」を揃えて提出することで、初めて改葬許可証が交付され、ご遺骨を合法的に移動させることができるようになるのです。

なぜ今、墓じまいを選ぶ人が増えている?

近年、墓じまいを選ぶ人が増えている背景には、少子高齢化や核家族化といった社会構造の変化が深く関わっています。

ここでは、なぜ墓じまいを選ぶ人が増えているのか、その理由を考えていきます。

年代別|墓じまいを考えるきっかけ

年代主なきっかけ割合
40代親の高齢化、子どもの教育費負担28%
50代定年退職準備、体力的な不安35%
60代自身の健康問題、管理の負担22%
70代以上配偶者の他界、施設入居15%

全国石製品協同組合の調査(2023年)によると、墓じまいを検討する年代は40代が28%、50代が35%と、この年代で全体の約6割を占めています。

親世代が元気なうちに、将来の負担を軽くしておきたいという思いが、行動のきっかけとな

出典:「墓じまい」に関してのアンケート調査を実施

よくある墓じまいのきっかけ

距離・アクセスの問題

生まれ故郷を離れて都市部で生活している方にとって、遠方のお墓への負担は深刻です。交通費や時間の負担が大きく、高齢になるとお参りに行くことが困難になってしまいます。

お墓が荒れてしまうことへの心苦しさから、墓じまいを検討される方が多いのです。

跡継ぎの問題

少子化の影響で、お墓を継ぐ子どもがいない、あるいは娘しかおらず嫁いでしまったため跡継ぎがいないというケースが増えています。

将来的に無縁仏になってしまうのではないかという不安が、墓じまいを決断する大きな動機となっているのでしょう。

体力・健康面の問題

お墓を維持している人自身が高齢になり、墓地の掃除や草むしりといった管理作業が体力的に困難になることも、墓じまいのきっかけのひとつ。

特に、山間部や階段の多い墓地では、お参りに行くこと自体が大きな負担となってしまいます。

経済的な問題

管理費や年会費の継続的な負担、交通費の支出、墓石の修繕費用など、お墓の維持には様々な費用がかかります。今後の収入減への不安から、経済的な負担を軽くしたいと考える方も少なくありません。

時代の変化と価値観の多様化

かつては「家」単位で代々受け継がれるものとされてきたお墓ですが、現代ではその考え方も変化しています。

個人のライフスタイルや価値観を尊重する風潮が広がり、供養の形も多様化しているのです。

供養に対する考え方の変化

「お墓がなければご先祖様を供養できない」という考え方から、「形は変わっても供養する気持ちが大切」という認識へとシフトしています。

永代供養や樹木葬、手元供養など、現代のニーズに合った新しい供養方法が登場したことも、墓じまいという選択を後押ししているのかもしれませんね。

現実的な選択としての受け入れ

墓じまいは、ご先祖様をないがしろにする行為ではなく、変化する社会の中で供養を続けていくための、現実的で合理的な選択肢として社会に受け入れられつつあります。

子どもや孫の世代に負担をかけたくないという親心から、自らの代で墓じまいを行うケースも増えているんです。

墓じまいの進め方|知っておきたい6つのステップ

墓じまいを円滑に進めるためには、事前の計画と段取りがとても大切です。親族間の合意形成から始まり、行政手続き、宗教儀式、そして実際の工事まで。やることはたくさんあります。

まずは、以下の表で墓じまいの全体像をつかみましょう。

ステップ作業内容期間目安ポイント
1家族・親族との話し合い1-3ヶ月全員の合意が最重要
2墓地管理者への相談1-2週間感謝の気持ちを忘れずに
3新しい供養先の決定1-2ヶ月複数の選択肢を比べて検討
4行政手続き(改葬許可申請)1-2週間必要書類を確実に準備
5閉眼供養とご遺骨の取り出し1日宗教的な配慮を大切に
6墓石撤去と新しい供養先への納骨1-2週間最終確認を忘れずに

6つのステップに分けて計画的に進めることで、トラブルを避け、安心して新しい供養を始められます。一つひとつご紹介しますね。

ステップ1:家族・親族との話し合い

墓じまいを成功させるための最も重要なステップは、家族や親族との十分な話し合い。お墓は個人や一家族だけのものではなく、多くの親族にとって大切な場所であるため、独断で進めると深刻なトラブルに発展する恐れがあります。

事前の合意形成の大切さ

なぜ墓じまいをしたいのか、その理由を丁寧に説明し、関係者全員の理解と納得を得ることが不可欠。費用は誰が負担するのか、取り出したご遺骨はどこでどのように供養するのかといった具体的な内容についても、この段階で合意を形成しておく必要があります。

話し合いでは、墓じまいを行う理由と必要性をまず明確にし、費用負担の分担方法や新しい供養先の候補について決めておく必要があります。また、作業を進めるスケジュールや連絡・報告の方法、万が一の際の責任者についても、この段階で取り決めておくと安心です。

話し合いのコツと配慮点

話し合いでは、一方的に自分の意見を押し付けるのではなく、他の親族の意見にも真摯に耳を傾ける姿勢が大切です。

長年お墓を守ってきた親族の気持ちや、ご先祖様への思いを尊重し、全員が納得できる着地点を見つけることを目指しましょう。

時間をかけてでも、みんなが「これでよかった」と思える結論に至ることが何より重要なんです。

ステップ2:墓地管理者への相談

親族間の合意が得られたら、次にお墓がある寺院や霊園の管理者に墓じまいの意向を伝えます。長年お世話になった感謝の気持ちを伝え、円満に進められるよう配慮することが大切です。

伝える際のマナー

まずは電話などでアポイントを取り、直接出向いて事情を説明するのが丁寧な方法。これまでお墓を管理していただいたことへの感謝を述べた上で、墓じまいをせざるを得ない理由を誠実に伝えましょう。

管理者との相談では、まずアポイントを取って直接訪問し、感謝の気持ちを最初に伝えることが大切です。墓じまいの理由を誠実に説明し、墓石撤去工事の流れや指定業者の有無を確認しましょう。離檀料についても事前に相談し、閉眼供養の日程調整も併せて行っておくとスムーズです。

必要な準備

相談の際には、墓じまいの具体的な手続きの流れや、墓石の撤去工事を依頼できる石材店に指定があるかどうかを確認します。

また、後々のトラブルを避けるため、離檀料の有無や金額についてもこの時点で確認しておくことが賢明です。「お世話になった分のお礼をさせていただきたいのですが」といった形で、こちらから話を切り出すのもいい方法ですね。

ステップ3:新しい供養先の決定

ご遺骨をどこで、どのように供養するのかを具体的に決定します。新しい供養先は、今後のライフスタイルやお参りのしやすさ、費用などを総合的に考えて慎重に選びましょう。

ステップ4:行政手続き(改葬許可申請)

ご遺骨を移動させるために、法律で定められた行政手続きを行います。この手続きを怠ると法律違反になるため、確実に行う必要があります。

必要書類のチェックリスト

改葬許可申請には、主に以下の3つの書類が必要です。

書類名入手先注意点
改葬許可申請書現在お墓がある市区町村の役所窓口または公式サイトからダウンロード
埋葬(収蔵)証明書現在のお墓の管理者(寺院や霊園)ご遺骨が確かにそのお墓に納められていることを証明
受入証明書新しい供養先の管理者ご遺骨の受け入れ先が確定していることを証明

その他、申請者の本人確認書類や故人の戸籍謄本(除籍謄本)、申請者と故人との関係を証明する書類が必要になる場合があります。

また、自治体によっては手数料がかかることもあるので、事前に確認しておきましょう。

手続きの流れ

上記の書類をすべて揃え、現在お墓がある市区町村の役所の担当窓口に提出します。書類に不備がなければ、「改葬許可証」が交付されます。

この許可証は、ご遺骨を取り出す際と、新しい場所に納骨する際に必要となる重要な書類なので、大切に保管してくださいね。

ステップ5:閉眼供養とご遺骨の取り出し

墓石の撤去工事に先立ち、お墓に宿っているご先祖様の魂を抜くための宗教儀式「閉眼供養(魂抜き、お性根抜きとも呼ばれる)」を執り行います。

僧侶への依頼方法

菩提寺がある場合はその住職に依頼するのが一般的。菩提寺がない場合は、インターネットなどで僧侶を手配できるサービスを利用することもできます。

閉眼供養の準備では、1-2週間前には僧侶への依頼を済ませ、親族への連絡と日程調整を行います。お布施は3-10万円程度を準備し、供花や線香も用意しておきましょう。当日の進行についても事前に確認しておくと安心です。

当日の流れ

閉眼供養は、親族が集まり、僧侶の読経のもとで行われます。この儀式が終わると、墓石はただの石に戻るとされています。

供養の後、石材店の作業員が墓石を動かし、カロート(納骨室)からご遺骨を取り出します。取り出したご遺骨は、きれいに洗浄・乾燥させ、新しい納骨先へ移すまで一時的に自宅などで安置します。

ステップ6:墓石撤去と新しい供養先への納骨

ご遺骨を取り出した後、墓石を解体・撤去し、墓所を更地に戻して管理者に返還します。そして、新しい供養先にご遺骨を納めます。

業者選びのポイント

墓石の撤去工事は、石材店に依頼します。複数の業者から見積もりを取り、費用やサービス内容を比べて検討することが重要。

業者選びでは、必ず複数業者からの相見積もりを取り、作業内容の詳細や追加料金の有無を確認することが大切です。工事保険の加入状況や実績、口コミも事前に調べておきましょう。アフターサービスの内容についても確認しておくと、万が一の際に安心です。

墓地によっては石材店が指定されている場合もあるため、事前に管理者に確認しておきましょう。

最終確認事項

工事完了後、墓所がきちんと更地になっているかを確認し、墓地の管理者に返還します。その後、新しい供養先に「改葬許可証」を提出し、ご遺骨を納めます。

納骨の際には、新しいお墓に魂を入れる「開眼供養」を併せて行うのが一般的です。これで、ご先祖様に新しい住まいに安心して移っていただくことができますね。

墓じまいにかかる費用|相場と内訳を詳しく解説

墓じまいには、様々な費用がかかり、その総額は選ぶ供養方法や墓所の状況によって大きく異なります。

一般的には35万円から150万円程度が相場とされていますが、場合によっては300万円を超えることもあります。

事前に内訳をしっかり理解し、資金計画を立てることが重要です。

費用の総額目安

墓じまいの費用は、大きく分けて「現在のお墓の整理にかかる費用」と「新しい供養先にかかる費用」の2つで構成されます。

一般的な相場:35~150万円

墓石の撤去や閉眼供養、行政手続きなど、お墓を閉じるためだけの費用は、おおよそ20万円から60万円程度。これに、新しい納骨先の費用が加わるため、総額には大きな幅が生まれます。

たとえば、比較的安価な合祀タイプの永代供養墓を選ぶか、個別の納骨堂を選ぶかで数十万円から百万円以上の差が出ることがあるんです。

費用を左右する要因

費用が変動する主な要因としては、墓石の大きさや墓所の面積、重機が使えるかといった立地条件、そして新しい供養先の種類やグレードが挙げられます。

また、寺院との関係性によっては、離檀料がかかる場合もあります。「お世話になったお礼」という意味合いが強いものですが、事前に相談しておくことで、後々のトラブルを避けられるでしょう。

詳細な費用内訳

墓じまいにかかる具体的な費用項目と、それぞれの相場をご紹介します。

費用項目相場詳細
墓石撤去工事10~30万円墓石を解体・撤去し、墓所を更地に戻すための費用。墓地の面積1平方メートルあたり10万円前後が目安
閉眼供養のお布施3~10万円お墓から魂を抜く儀式を僧侶に依頼する際のお礼。地域や宗派により異なる
行政手続き費用数千円改葬許可申請に必要な書類の発行手数料。申請自体に費用はかからない
新しい供養先3~100万円以上散骨や合祀墓は3-10万円程度、樹木葬や永代供養墓は20-80万円、個別の納骨堂は100万円以上

墓石撤去工事では、クレーン車が入れないような場所では人件費がかさみ、高額になる傾向があります。また、閉眼供養では別途、僧侶の交通費として「お車代」が必要な場合もあるので、事前に確認しておくといいでしょう。

費用を抑えるコツ

計画的に準備を進めることで、墓じまいの費用を抑えることができます。具体的に見ていきましょう。

複数業者での見積もり比較

墓石の撤去工事を依頼する際は、必ず複数の石材店から相見積もりを取りましょう。1社だけの見積もりでは、その金額が適正かどうか判断できません。

見積もりを比べることで、数万円から十数万円の費用を節約できる場合があります。ただし、価格だけでなく、作業内容やアフターサービスも併せて検討することが大切ですね。

自治体の補助金活用

自治体によっては、荒廃した墓地を整理する目的で、墓じまいの費用の一部を補助する制度を設けている場合があります。

対象となる条件は自治体ごとに異なるため、現在お墓がある市区町村の役所に問い合わせてみるといいでしょう。思わぬ助成が受けられるかもしれません。

トラブルを避けるために知っておきたい注意点

墓じまいは、金銭的な問題や感情的な対立など、さまざまなトラブルが起こりやすいデリケートな問題です。

事前に起こりうるトラブルを想定し、対策を講じておくことで、円満な墓じまいを実現していけます。

よくあるトラブルと対策

墓じまいを進める過程では、主に「親族間」「寺院」「業者」との間でトラブルが起こりがち。それぞれについて、対策も含めてお話ししていきますね。

親族間の意見対立

もっとも多いのが、親族間での意見の食い違い。「先祖代々のお墓をなくすなんてとんでもない」といった感情的な反対や、費用負担の割合をめぐる対立が起こりやすいんです。

対策: 墓じまいを検討し始めた早い段階で、関係する親族全員に相談し、時間をかけて話し合うことが不可欠。なぜ墓じまいが必要なのか、将来の管理をどう考えているのかを誠実に伝え、全員の納得を得る努力をしましょう。

特に、高齢の親族には「お墓がなくなる」のではなく「形を変えて供養を続ける」ということを丁寧に説明することが大切です。

寺院との離檀料トラブル

菩提寺の檀家をやめる(離檀する)際に、高額な「離檀料」を請求されるケースがあります。離檀料に法的な支払い義務はありませんが、これまでお墓を守っていただいた感謝の気持ちとしてお渡しするのが一般的。

対策: まずは、これまでお世話になった感謝の気持ちを丁寧に伝えることが大切です。請求された金額に納得がいかない場合は、その内訳や根拠を尋ね、冷静に話し合いましょう。弁護士や行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。

最初から「お礼をさせていただきたい」という姿勢で相談することで、多くの場合、円満に解決できるものです。

業者選びでの失敗

墓石の撤去を依頼した業者から、見積もり以上の高額な追加料金を請求されたり、ずさんな工事をされたりするトラブルも報告されています。

対策: 複数の業者から相見積もりを取り、契約書の内容を隅々まで確認することが重要。見積書に「追加料金は一切かからない」という一文を入れてもらうとより安心です。また、業者の実績や口コミを事前に調べておくことも有効な対策となります。

こんな人は特に注意が必要

特定の状況にある人は、トラブルに発展する恐れが比較的高いため、より慎重な対応が求められます。以下の心当たりがある方は注意しましょう。

年代別の注意ポイント

高齢の親がいる場合: 親世代にとって、お墓は心の拠り所であることが多いです。墓じまいの話が、親の気持ちを傷つけたり、不安にさせたりしないよう、言葉を選び、時間をかけて理解を求める配慮が必要。

「お墓を大切にしてきた気持ちは変わらない」ということを伝えながら、現実的な問題についても理解してもらうことが大切ですね。

兄弟姉妹が多い場合: お墓に対する考え方や価値観は人それぞれ。兄弟姉妹が多いほど意見がまとまりにくくなる傾向があるため、代表者を立てるなどして、話し合いを効率的に進める工夫が求められます。

地域による違い

お墓に関する慣習やしきたりは、地域によって大きく異なります。特に、地域のコミュニティとの結びつきが強い地方では、地域の長老や親族の有力者の意見が重視されることもあります。

その地域の慣習を事前にリサーチし、尊重する姿勢を示すことが、円滑な進行の鍵となります。分からないことがあれば、素直に教えを請うという謙虚な気持ちも大切でしょう。

墓じまい後の供養方法|選択肢とそれぞれの特徴

墓じまいをした後のご遺骨の供養方法は、一つではありません。跡継ぎの有無、お参りの頻度、費用、そして故人や自身の価値観に合わせて、多様な選択肢の中から最適な方法を選べます。

主な供養方法の比較

近年では、従来の形にとらわれない新しい供養方法が次々と登場しています。それぞれの特徴を理解し、比べて検討することが大切です。

供養方法特徴費用目安こんな方におすすめ
永代供養墓寺院や霊園が永続的に管理・供養してくれる。跡継ぎ不要。10万円~150万円管理の手間をかけたくない方
樹木葬墓石の代わりに樹木をシンボルとする。自然志向の方に人気。20万円~80万円自然に還りたい方
納骨堂屋内施設で天候に左右されずお参りできる。交通の便が良い場所が多い。10万円~150万円定期的にお参りしたい方
散骨海や山にご遺骨を撒く方法。費用を抑えられるが、法規制やマナーの遵守が必要。3万円~30万円費用を抑えたい方
手元供養ご遺骨の一部を自宅で保管する。常に身近に感じられる。3万円~30万円いつも身近に感じていたい方

永代供養墓:管理不要で安心

寺院や霊園が、家族に代わってご遺骨の管理と供養を永続的に行ってくれるお墓。跡継ぎがいない方でも安心して任せられるのが最大のメリットです。

他の人と一緒に祀られる「合祀墓」や、個別のスペースが設けられたものなど、様々なタイプがあります。年忌法要なども寺院で行ってくれるところが多く、本当に安心して任せられますね。

樹木葬:自然に還る供養

墓石の代わりに、桜やハナミズキなどの樹木を墓標とする供養方法。「自然に還りたい」という志向を持つ方に人気があります。

美しい景観の霊園が多く、明るい雰囲気の中でお参りできるのも魅力です。季節ごとに花が咲き、自然の移ろいとともにご先祖様を偲ぶことができるでしょう。

納骨堂:お参りしやすい立地

建物の中にご遺骨を安置する施設で、いわば「ご遺骨のマンション」のようなもの。多くは駅の近くなど交通至便な場所にあり、天候を気にせず気軽にお参りできる利便性の高さが特徴。

カードキーで参拝できる最新式のものもあり、現代的なお参りのスタイルとして注目されています。

散骨:費用を抑えたい方に

粉末状にしたご遺骨を、許可された海域や山林に撒く方法。お墓を持たないため、管理費や維持費がかからず、費用を大幅に抑えられます。

ただし、節度を守り、専門業者のルールに従って行う必要があります。自然に還るという意味では、とても理にかなった方法といえるかもしれませんね。

よくある質問|墓じまいの疑問を解決

墓じまいを検討するにあたり、多くの方が抱く共通の疑問についてお答えします。きっと、同じような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

Q: 墓じまいはいつから始めればいい?

A: 墓じまいを始めるのに「早すぎる」ということはありません。むしろ、自分自身が元気で、判断力や行動力があるうちに始めるのが理想的。

親世代が元気であれば、その意向を確認しながら一緒に進めることもできますし、体力的に余裕がある40代~50代のうちに検討を始める方が増えています。思い立った時が、最初のステップを踏み出す最適なタイミングといえるでしょう。

「まだ早いかな」と思われるかもしれませんが、準備には時間がかかるものです。余裕を持って進められる方が、みんなが納得できる結果につながりやすいですよ。

Q: 家族の反対がある場合はどうすれば?

A: 家族や親族からの反対は、墓じまいで最も多いハードルの一つ。まずは、なぜ反対しているのか、その理由をじっくりと聞くことが大切です。

ご先祖様への思いや、お墓に対する愛着など、感情的な側面が大きい場合がほとんど。墓じまいが必要な理由を根気強く説明し、永代供養など、形を変えても供養は続けていくことを伝え、相手の気持ちに寄り添いながら、時間をかけて合意点を探っていく必要があります。

一度で理解してもらえなくても、諦めずに話し合いを続けることが大切。最終的には、みんなが「これでよかった」と思える解決策が見つかるはずです。

Q: 費用が払えない場合の対処法は?

A: 墓じまいの費用は決して安くはないため、一括での支払いが難しい場合もあります。対処法としては、まず石材店や霊園が提供している「メモリアルローン」を利用する方法があります。

また、親族で費用を分担できないか、改めて相談してみるのも一つの手。費用を抑えるためには、新しい供養先として比較的安価な合祀タイプの永代供養墓を選んだり、散骨を選んだりすることも検討しましょう。

大切なのは、無理をしないこと。予算に合わせた選択肢を探せば、きっと納得できる方法が見つかるはずです。

Q: 墓じまいをしないとどうなる?

A: お墓の管理や供養をする人がいなくなると、そのお墓は「無縁仏(無縁墓)」となってしまいます。お墓は荒れ放題になり、最終的には墓地の管理者によって、法律に基づいた手順を経て撤去・整理されることになります。

中にあったご遺骨は、他の無縁仏と一緒に合祀されるのが一般的。ご先祖様を無縁仏にしないため、そして将来、縁もゆかりもない親族に突然管理責任が及ぶといった事態を避けるためにも、管理が難しいと感じた時点で墓じまいを検討することが、責任ある選択といえます。

「今はまだ大丈夫」と思っていても、状況は急に変わることもあります。早めに検討しておくことで、選択肢も広がりますよ。

おわりに

墓じまいは、お墓の跡継ぎがいない、遠方で管理が難しいといった現代的な課題に対応し、ご先祖様への供養を続けていくための前向きで現実的な選択肢。

まずは、ご自身の状況を整理しながら、ゆっくりと検討を始めてみてください。どう進めるかに悩んだときは、石材店や霊園の相談窓口、行政書士といった専門家や、経験のある身近な人に相談してみるのもおすすめです。

あなたとご先祖様とのつながりが、これからも心地よく続いていきますように。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

藤原まどかのアバター 藤原まどか ライター

全国紙の社会部記者として10年以上にわたり、介護・相続・高齢者福祉を専門に取材。退職後は終活ジャンルに特化したライターとして活動し、終活ガイド1級、AFP(ファイナンシャルプランナー)、終活カウンセラー初級の資格を取得。両親の終活を実践中で、自らの経験をもとに「家族の立場から見た終活」を伝えています。制度の正確な情報と生活者視点の両立を大切に、わかりやすく丁寧な情報発信を心がけています。

コメント

コメントする

目次