「相続放棄の手続きに何万円もかかるの?」——実は自分で手続きすれば、収入印紙800円と郵便切手代・戸籍謄本代で済みます。ただし「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」という厳しい期限があり、遅れると借金も含めて相続したとみなされます。
本記事では、相続放棄の費用・手続きの流れ・申述書の書き方の注意点を行政書士の視点から整理します。期限が迫っている方は、まず必要書類の準備から始めてください。
- 家庭裁判所への申述費用は収入印紙800円+郵便切手代のみ(自分でやる場合の実費)
- 期限は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」(民法第915条)
- 司法書士に依頼した場合の費用目安は3〜5万円程度が多い
相続放棄の費用の内訳
家庭裁判所に支払う実費(自分でやる場合)
- 収入印紙:800円(申述人1人につき)
- 郵便切手:500〜1,000円程度(裁判所によって異なる)
- 戸籍謄本等の取得費用:1通あたり450〜750円(必要枚数分)
司法書士・弁護士に依頼した場合
司法書士に書類作成を依頼する場合の報酬は、1人あたり3〜5万円程度が目安とされています。相続人が複数いる場合は割引になる事務所もあります。弁護士に全面依頼する場合は5〜10万円程度が目安とされていますが、費用は事務所によって異なるため、複数の事務所に見積もりを依頼することをおすすめします。
相続放棄の手続きの流れ
①必要書類を準備する
- 相続放棄申述書(裁判所のウェブサイトから書式を入手)
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人(放棄する人)の戸籍謄本
- 被相続人との関係を証明する戸籍謄本(続柄による)
②家庭裁判所に申述書を提出する
申述先は「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」です。郵送でも提出できます。
③照会書への回答・受理通知書を受け取る
申述後、裁判所から照会書が届きます。放棄の理由や意思を記入して返送すると、「相続放棄申述受理通知書」が届きます。この書類を大切に保管してください。
3ヶ月の期限が過ぎた場合
原則として3ヶ月以内の申述が必要ですが、被相続人の財産の存在を知らなかった場合など、一定の事情がある場合は期限の起算点が延長される可能性があります。期限を過ぎてしまった場合でも、諦める前に弁護士・司法書士への相談を検討してください。
放棄後も残る責任
- 不動産の管理義務(民法第940条:次の相続人または相続財産管理人が決まるまで)
- 固定資産税(不動産の管理責任として一時的に負担が生じる場合がある)
- 墓地・仏壇等の祭祀財産(相続財産ではないため放棄しても承継される)
相続放棄申述書の書き方の注意点
申述書は家庭裁判所のウェブサイトから書式をダウンロードできます。記入時に特に注意すべき点は以下のとおりです。
| 記入箇所 | 注意点 |
|---|---|
| 申述人の氏名・住所 | 住民票の記載と一致させる。印鑑は実印推奨 | 被相続人との続柄 | 戸籍の記載通りに記入。「長男」「配偶者」など |
| 相続を知った日 | 被相続人の死亡を知った日(≠死亡日の場合あり)を正確に記載 |
| 放棄の理由 | 「負債超過」「生前から交流なし」など事実に基づいて記載。詳細な説明は不要 |
| 添付書類 | 申述書の末尾チェックリストを参照して漏れなく添付する |
記入に不安がある場合は、管轄の家庭裁判所に電話確認すると丁寧に教えてもらえます。
よくある質問
Q. 相続放棄をすると次順位の親族が相続人になりますか?
なります。子がすべて放棄すると、次順位(父母・祖父母)が相続人となります。家族全員が放棄を検討する場合は関係者間での情報共有が重要です。
Q. 遺産を少しでも受け取ると放棄できなくなりますか?
相続財産を「処分」した場合、相続を承認したとみなされる可能性があります(民法第921条)。処分の範囲は個別の事情で判断が分かれるため、迷う場合は専門家に相談してください。
Q. 相続放棄は撤回できますか?
原則としてできません(民法第919条)。詐欺や強迫によるものなど、例外的なケースに限られます。
まとめ
- 自分で手続きする場合の実費は収入印紙800円+戸籍謄本費用のみ
- 期限は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」(民法第915条)
- 申述先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
- 放棄後も不動産の管理義務が残ることに注意
参考資料・一次ソース
行政書士/終活カウンセラー上級/成年後見制度アドバイザー/宅地建物取引士
相続・不動産・終活分野の手続きを専門とする行政書士。おくりびとジャーナルにて制度・法律・費用に関する記事を執筆。
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※ 掲載情報は執筆時点のものです。具体的な手続きは専門家にご相談ください。

